「朝が弱くてなかなか起きられません。大学の授業に出席できていないので、このままだと単位を落としてしまいます。明日の授業は面白いから絶対受けたいと思っていても、やっぱり寝過ごしてしまいます。家族に相談しても起きる気がないからでしょ、と言われます。どうしたらいいでしょうか。」
朝起きられないのは甘え?怠け?
このような相談は大学生さんたちと話しているとよく出てきます。「朝起きられない」という相談は、起きられない本人からだけでなく、そのご家族からの相談でも多い困りごとの一つです。そして、起きられない本人を含め多くの方が、「朝起きられないなんて甘えている」や「怠けだと思う」と話されます。それだけ「朝起きること」は、自分で調節出来て当たり前のことだと感じている人が多いのでしょう。確かに、「寝坊して授業に遅刻した」という学生に「出席にしておくから、気にせずいくらでも遅刻しておいで!」とは言ってあげられません。しかし、生活に支障が出るほど「起きられない」ことが問題になる場合は、単純に「甘え」や「怠け」という言葉で片付けられない生活上の問題や心身の不調が関連している場合があります。十分に睡眠をとっていても日中の眠気が強くて生活に支障が出ている、朝起きた時に気持ちの落ち込みや無気力感が強い、生活リズムを一定にしてもやはり起きられないなどの場合は、医療機関(メンタルクリニックや睡眠専門の医療機関)へ相談をしてみましょう。
朝起きるためにできること
朝起きるために、今日から取り組めることを2つ紹介します。まず1つ目は、自分の睡眠状態や睡眠リズムを把握することです。睡眠日誌を付けたり、睡眠アプリなどを使って、毎日の寝る時間や起きる時間、睡眠の状態などを記録しましょう。その際、その日の気分や調子も記録すると、自分にとって必要な睡眠時間や起床のタイミングが見つけやすくなります。2週間程度、毎日つけることが目安とされています。睡眠日誌は、自分自身の睡眠の特徴を把握するためだけでなく、医療機関に相談する際に持参すると診察の参考になり、便利です。
2つ目は、生活リズムを整えることです。大学生さんに多いですが、夜遅くまでアルバイトがあったり、曜日によって授業の始まる時間が異なったりすると、寝る時間も起きる時間もバラバラで、生活リズムが不規則になりがちです。睡眠日誌などを確認して、起きる時間が日によって2時間以上異なる場合は、起きる時間をそろえるようにしましょう。休日になると昼まで寝てしまうという人は要注意です。予定の有無に合わせるのではなく、一定の時間に起床することを目標にしましょう。「ただでさえ朝が弱いのに、予定がない日も早く起きるなんて無理!」と思うかもしれません。最初はつらいと思いますが、騙されたと思ってはじめてみましょう。そして、1日起きられたら、もう1日。2日続けられたら、もう1日。朝起きた自分にご褒美を用意してもいいですね。2週間ほど続けると生活リズムが定着してきて、スムーズに起きられるようになると言われています。
「朝起きられない」ことが気になっている人は、まず睡眠日誌(または睡眠アプリ)をダウンロードするところから始めてみましょう。