編集後記・事務局だより
編集後記
まもなく第36号が発行されます。今号も多くの方のご協力をいただきました。記事作成に携わってくださった方々に感謝申し上げます。
今号から、編集作業の進め方が変更されました。これまでもすべての原稿に目を通して確認してきましたが、どうしても一読者として読み進めてしまい、いわゆるチェックという面では足りないことがありました。そこでチェックという役割を持ってすべての原稿を読むことを、全委員で手分けして行うようにしました。これは広報の責任ということを改めて考える機会でもありました。
ここですべてを紹介することはできませんが、今号も魅力的な原稿、記事で構成できました。そのひとつである山下さん・樋口さんの巻頭対談に私も立ち会わせていただきました。終始、おだやかな空気感と何とも言えない高揚感をいただきました。それが記事となって皆さまに届くことを祈っています。
特集1では心理臨床と発信をテーマとしました。昨年、学会員に行ったこの広報誌に関するアンケートの結果報告と委員会からの往信という意味もございます。
特集2では心理士たちにリアルな生活を紹介してもらっています。心理の仕事はある意味、ミステリアスで謎が多いです。その一端をのぞき見れたらと思い企画しました。そしてこれから心理士を目指す人たちへの手がかりになることを期待します。
今号が多くのみなさまの手に届き、心理臨床の世界への接点となることを願っております。
(広報委員 香野 毅)
事務局だより
私ごとですが、昨年の日本心理臨床学会第44回大会において、大会企画シンポジウム「心理臨床にとって伝承とは何か―学問的に対話する」のシンポジストとして、伊藤良子先生と沢宮容子先生のお二人の素晴らしい先生方と登壇させていただきました。私が心理臨床家になってちょうど40年目のことです。その40年前以前の数年間は、「科学的分析」が研究業務の中心でしたが、ひとのこころに直接触れる心理臨床へのあこがれと誘惑、は断ち切りがたく自身の歩む道を変えました。心理臨床を実践し続けるためには対象の科学的説明より臨床家自身がどのようにクライエントと生きていくかを問う、職業上の哲学をもつことが必要だと感じ始めたのです。そしてその臨床哲学をクライエントと共有できることが大切で、それがなければこの仕事は一生続けられるものではないぞ、と言うような思いを抱き始めていました。そのような個人的な混沌の中、それまで技法論や手続き論で問題解決を追い求めていた私の臨床は変わりました。常に自身の臨床哲学や倫理観によって判断する習慣がついたように思います。おそらくこのような感覚は臨床心理学的手続きを手段にして、人が幸せになることを目的にする臨床家の方々すべてが持ち合わせておられように感じるのは、私の独りよがりでしょうか? そして、そのような思いを持つ私や同じ感覚を持つ人からすると、最近の心理臨床の中に、目的と手段のはき違えが見られることが少なくないのでは?と言う疑問が浮かんできます。このことは心理臨床に関する内容だけではなく、学会の多くの会議の論議の中でも、事務局を預かる三役の一人として、手段と目的を誤らないような判断をしたいと常に考えております。
第45回大会のテーマは「社会と心理臨床学―基軸からの展開」と決まりました。諸先生方の基軸からの展開の前に、私の展開の自己開示をさせて頂きましたが、学会で先生方の論議が深まることを今から楽しみにしております。
(副理事長 石田陽彦)
広報委員会より
本誌「広場」の第19号(2017年8月30日発行)に掲載されている「アウティング」の記事に関して、「(自殺した学生Aさんが)(大学の)保健センターにも相談した」との記載が、事実と異なるのではないかとのご指摘がありました。
しかしながら、記事掲載から時間が経っており、現時点において事実関係を確定することは困難です。
今回の件で、改めて認識したことは、とくに社会的な事件や話題になっている出来事について記事でふれる場合、双方向の視点をもつことや、明確な根拠に基づいた正確な記載をし、出典の明記をする等のルール化によって、記載内容が正確かどうかのチェックを最大限行うことの必要性です。そして、そのための体制を更に強化していく所存です。一方で、読者の方々に考える機会を提供するという意味で、社会への発信を躊躇することなく、委員会として取り組んで参ります。