静岡大学は、「科学者-実践家モデル(scientist-practitionermodel)」の教育理念に基づき、学部段階から心理学研究と臨床実践の両方をバランス良く学べる環境を提供しています。人文社会科学部社会学科心理学コースと大学院人文社会科学研究科臨床人間科学専攻の臨床心理学コースが連動し、将来、心理臨床の現場で活躍できる公認心理師・臨床心理士の育成をしています。
学部段階からの着実な基盤形成
静岡大学の魅力は、学部段階から実践的な学びを取り入れている点にあります。心理学コースでは、社会・臨床領域を中心に幅広い講義・演習・実習科目を展開し、心理学研究と実践の基礎をしっかりと学ぶことができます。
大学院で深化する専門知識と実践力
大学院では、学部で培った基礎を土台に、より専門的な知識と実践力を身につけることができます。1997年4月に大学院人文社会科学研究科(修士課程)が設置され、本学の臨床心理学の研究・指導が開始されました。その後、1998年に臨床心理士資格認定協会の第2種校指定、2005年には第1種指定校に認定された経緯を持っています。臨床心理学コースでは1学年7名程度の少人数を対象に、実践力と研究能力の調和を目指し、目の前の課題に適切に対処する実務能力はもちろんのこと、社会・文化・制度的な背景を踏まえて倫理的に行動し、実践を分析し、より良い方法を提案できる研究能力も育成しています。加えて、心理学研究の専門知識を深める講義に加え、臨床実践に役立つ学際的な総合講義(必修)も用意されています。
 ①総合講義「臨床人間科学」
 臨床人間科学の研究理念、具体的な諸問題の検討を通して「臨床の知」を鍛えることを学びます。
 ②総合講義「対人援助の倫理と法」
 公認心理師・臨床心理士をはじめとする対人援助専門職者の育成ならびに再教育を中心的な目的とする臨床人間科学専攻において、対人援助実践における倫理的・法的な問題についての見識や実践的な対応力を高める教育プログラムです。学内外の専門家を招聘することで、最新の知見と実務家による具体的な経験について情報を得る機会となっています。同時に、具体的な事例を元に大学院生同士がディスカッションを行うワークショップ型の教育を展開しています。
地域社会への貢献:実践的な学びの場
静岡大学は、地域社会への貢献を重視しており、特に医療・福祉領域の実習が充実しています。公認心理師養成カリキュラムに沿って大学院生は、病院や福祉施設などで実習を行い、実際の臨床現場でどのような課題があるのか、どのように人々を支援できるのかを学びます。臨床心理士養成の時代から連携してきた県内施設を中心に「良きロールモデルとの出会い」を提供しています。また、個人だけでなく、グループやコミュニティという視点も重視しており、多職種との連携の実際を学ぶ機会も意図的に設け、将来、多様な立場の人々との協働が必要となる臨床現場で活躍できる人材育成を目指しています。これは、現代社会において、心理臨床が単独で行われることは少なく、医師や看護師、ソーシャルワーカーなど、様々な専門職との連携が不可欠であるという認識に基づいています。
学内実習の充実:きめ細やかな臨床指導
静岡大学には、「こころの相談室」という学内実習施設があり、大学院生はここで実際に相談業務に携わることができます。これは、大学院生が早期に臨床現場の雰囲気を経験し、実践的なスキルを習得する上で貴重な機会となります。歴史的には2000年に人文学部(当時の学部名称)と教育学部の共同施設として「静岡大学こころの相談室」が開設され、2004年には「こころの相談室」が全学施設化されたものです。大学院では、担当ケース毎に最適なスーパーバイザーが指導する体制をとっています。専攻専任のスタッフ(6名)の他、学外のスーパーバイザー(2名)を招聘し、大学院生一人ひとりの成長を丁寧にサポートしています。これは、大学院生が安心して臨床活動に取り組めるよう、質の高い指導を提供することを目指しているものです。

研究指導とキャリアサポート
多様な学問領域(心理学・社会学・倫理学・スポーツ科学)を含む複数コース構成という特性を生かし、柔軟な研究指導を実施しています。大学院生は、所属する臨床心理学コースとは別の臨床人間科学コース教員を「研究指導教員」として選択することが可能であり、また研究主題にあわせて「副研究指導教員」を持つことができます。本専攻では設置以来一貫して集団教育体制(専攻全体で大学院生を育てる)を貫いています。またキャリアパスを明確にすべく、大学院では、臨床心理士や公認心理師といった資格取得に必要な講義・演習・実習はもとより、公務員をはじめとした就職説明会の実施、新規採用情報の共有、実習とは別にインターンシップの紹介をするなど、就職に向けたサポート体制を徐々に整えています。
静岡大学で、未来の心理臨床家へ
静岡大学は、心理学研究と臨床実践の両方を重視した教育を通して、地域社会に貢献できる、倫理観の高い、そして実践的な能力を備えた心理臨床家を育成しています。将来、人の心を支える仕事に就きたいと考えている人にとって、静岡大学は最適な学びの場となるよう務めています。
 
					 
						 
						 
			 
				 
				 
				 
				 
				 
				 
				 
				 
				 
				 
				