心理士のお仕事

 ここでは、私が心理士としてどんな仕事をしていて、1週間をどのように過ごしているかについて、ざっとご紹介できればと思います。私は、臨床心理士と公認心理師という2つの資格を持っており、本稿でいう「心理士」とはこの2資格を指すことになります。現在は、福祉領域(市の保健福祉センター)を中心に週4日勤務しつつ、医療領域(メンタルクリニック)での業務にも携わっています。次の表が、心理士としての私の1週間になります。

福祉領域でのお仕事

 月曜日から木曜日までは、保健福祉センター(「こども部すくすく子育て課発達支援係」という部署に所属)における発達相談の業務に携わっています。支援対象となるのは主に6歳頃までの幼児とその保護者となります。また、保育園・幼稚園の先生方の支援もおこなっており、発達相談員(保健師)とペアを組んで業務にあたっています。市内を4つの地区に分けて分担しており、私の担当地区では現在160名前後の発達相談が継続されています。係内の心理士は私を含めて5名で、その他にも保育士・言語聴覚士・作業療法士・理学療法士等が在籍し、課題に応じて連携しています。ここからは表内の番号にそって業務内容についてご紹介したいと思います。

①発達相談(インテーク/継続相談)
 電話受付等での予約を経て実施される初回相談(インテーク)では、来所された保護者からの聞き取りやお子さんとの遊びを通して発達状態や生活環境を見立てていく作業(アセスメント)をおこないます。初回相談に限ったことではありませんが、相談する側もこちらをアセスメントしていることを頭の片隅にとめながら、関係性を構築することを大切にしています。また、間隔を空けて継続相談をおこなうケースもあります。

②検査(発達検査・知能検査等)
 対象児の年齢や状態像に応じて、新版K式発達検査2020、WISC-V、PARS-TR、ADHD-RSV、Vineland-Ⅱといった検査を実施しています。そのお子さんの生きてきた歴史を、数値等で表す作業になる一面もあることを心にとめて検査に臨むようにしています。

③検査結果のフィードバック
 検査結果の所見を作成し、保護者に説明する面談を設定しています。この際に、近隣の社会資源についても情報提供しています。結果データの処理や所見作成については、1ケースにつき3時間を目安におこない、上司の決裁を経て約2~3週間後に検査所見が保護者の手に渡るようになっています。

④巡回相談
 市内の保育園・幼稚園(現在29園を担当)を訪問して、対象児の行動観察とカンファレンスをおこない、必要に応じ後日書面でも報告します。保護者には面談もしくは電話での報告をおこないます。

⑤文書作成(ケース記録/検査所見/巡回報告書)
 業務に関連した文書作成をおこないます。また、保育士の加配申請文書や医療機関への紹介状を作成することもあります。持ち時間との勝負になることが多く、効率よく書けるよう試行錯誤しています。

⑥ペアレントトレーニング
 保護者支援の一環として全10回コースのペアレントトレーニングを開催し、現在はサブリーダーとしてセッションに参加しています。

⑦部署内カンファレンス
 月1回のペースで係内の近況を報告し合うカンファレンスがおこなわれます。心理士が中心の回と、多職種合同でおこなわれる回があります。

医療領域でのお仕事

 土曜日は、月に1~2日の頻度でメンタルクリニックでの臨床に携わっており、10代後半から70代前後までの方々とお会いしています。業務内容については、電子カルテに入力する形で記録に残しています。

⑧心理検査
 医師の指示に応じて検査を実施した後、検査所見を作成しています。現在はWAIS-Ⅳという成人用の知能検査を中心に担当しており、午前と午後に1件ずつ検査を実施することが多いです。

⑨カウンセリング
 クライエントが現実生活で困っていることや、人生の生きにくさ(生きることの意味を探す場合もあります)といったものに焦点を当ててお話をお伺いしています。すべての悩みを解決することは難しいこともありますが、一人一人のこころに誠実に向き合えるように努力しています。

心理士のコンピテンシーを見つめながら

 その職種の専門性の土台となる資質や能力のことを「コンピテンシー」と言いますが(元永、2025)、慌ただしい日々の中でついつい一面的な見方に陥ってしまう私にとっては、福祉と医療の2本軸の中でいかに資質と能力を研鑽するかを内省する際の視点として大切にしています。また、心理士としての道を歩いていくと、時には大きくずっこけて痛い思いをすることもありますが、そこから立ち上がる体験がどこか人生そのものを豊かにしてくれる一面もあるように感じています。そうした意味では、慌ただしい日々を与えてくれる現在の環境にも感謝しながら、これからも心理臨床の道に励んでいきたいと思っています。

●参考文献 
元永拓郎(2025)『心理職のコンピテンシーとは何か―現場に活かすプロフェッショナリズム』誠信書房

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