「心の旅路:挑戦と成長の道」
「闇からの光へ:治療の可能性を追求する」
「心理臨床の力:個人から社会への影響を探る」
「再生の序章:トラウマからの心の回復」
「エンパワーメント:クライアントの自己発見と成長」
「共感の力:クライアントとの絆を深める」
これらは、『心理臨床の広場』巻頭言のテーマ案を、私がChatGPTにあくまで一種のゲームとして尋ねてみた際に返ってきた回答です。またたく間にこれだけの数の答えを返してくれるのですから、ChatGPTおそるべしです。
ChatGPT(ChatGenerativePre-trainedTransformer)は、2022年11月に公開された人工知能(AI)プログラムで、人間のように考えながら会話できるところが画期的と言えます。ハッタリやウソも多いのですが、英語や日本語などいずれの使用言語においても、文章としての完成度が意外と高いことに驚かされます。
このようなAI関連の技術革新には日進月歩の勢いがあり、日本心理学会からもこの5月に『学術論文の執筆におけるAI利用ポリシー』が発表されました。AIツールは著者資格を持たないことや、AIツールを利用した場合には何をどの目的で利用したかを開示することなどの方針を打ち出しています。一部の研究の世界でもChatGPTなどAIの活用は急速に広まってきました。望むと望まざるとに関わらず、心理臨床の世界にも浸透していくことでしょう。
私事で恐縮ですが、先日、ある先生から「自宅に遊びにいらっしゃい」とお誘いを受けました。以前から何度かお声掛け戴いていたのですが、いつも「本当に伺ってもよいのかしら」という躊躇いがあり、煮え切らない態度をとっていました。その日は、「あなたは私が社交辞令を言っていると思っていらっしゃるの?」と尋ねられました。先生は本気でお招き下さっていたのに、鈍い私はその真情を察することができなかったのです。
先生のご厚意を素直に受け取れなかったことを恥じ入り、こんな時、ChatGPTなら先生の言葉を、どう読み取り、どう応えただろうと考えながら家路についた、初夏の夕暮れでした。