受験と心理学。

 二つの言葉にはどこかかみ合わない感じがあります。頭と心という二つの違った部分にかかわっているように見えるからでしょうか。
 だけど、受験もまた心と深くかかわる出来事です。
 そうですよね、私たちの人生には何度か受験の時期があって、そのとき心は受験に受かるか落ちるかにすっかりとらわれてしまいます。
 早ければ幼稚園受験から始まり、小学校受験がある人もいれば、中学受験で初めて受験に出会う人もいるでしょう。高校受験はかなり多くの人が経験し、大学受験へとその道は続いていきます。人生には勝ったり負けたりがあるわけですが、受験はそれを強烈に体験するライフイベントです。
 だから、そこには悲喜こもごもがあります。受験がよい思い出になる人もいれば、それが深刻にその後の人生に傷跡を残す人もいるでしょう。
 そのとき、私たちの心に何が起きているのか、それが本特集のテーマです。
 現在受験生である人も、過去に受験生であった人も、そしてなにより家族が今受験をしていてそのサポートをしている人も、自分の心を振り返りながら、本特集をお読みいただければ幸いです。


 心理臨床学とはこういうことについてもしっかり考える学問なのです。

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