日本は、昔から異文化多様性を取り入れることに長けています。例えば、食文化。日本に留学してきたある学生は、日本人の学生の家に遊びに行った時に、パスタを振る舞われて非常に驚いたと言います。「私の国では、パスタはイタリア料理の専門店で食べるもの。自宅で作るなんて発想すらなかった。しかも日本の食材を用いてアレンジまでして、かつ美味しく作れるなんて」と。
一方で、日本は差別の理解と対応については国際的に遅れています。また、日本の社会では、場の空気が読めないと疎まれるなど、個人よりも社会における価値観が重視されがちで、"平等"や"普通"の概念が"周りと同じである"ことに重心が置かれがちであることが様々に指摘されてきています。
しかし、昨今は、個人の存在や価値観、その人その人のもつ"色"のようなものを大切にしたいという心の声の高まりも生じています。それらの一端が、現代における心理社会的な課題としてもクローズアップされてきています。
特集1では、これらについて、心理臨床学の専門家の方々に、社会経済をめぐる問題、ジェンダー・セクシュアリティをめぐる問題、エスニシティの問題、ディスアビリティの問題など、具体的に取りあげてお話して頂きます。