私の「こころのリフレッシュ」

 結構お気楽に見える私ですが、気がかりなことは少なくありません。大学教員としての本来業務、スクールカウンセラーとしての臨床実践、種々の社会活動など、仕事に関わることのほか、高齢の母の健康問題、昨年のステイホーム時代に終わらなかった書斎とクローゼットの断捨離問題などなど、私生活でも懸案事項には事欠きません。
 これらの一つや複数がこじれてくると、早朝に目が覚めたり、悪夢を見たりするのですが、そのような中、これからご紹介するさまざまな「なんちゃって」活動によってリフレッシュを図っています。

鑑賞・収集系(桜、パンダ、銀杏)

 実際に出会うには、季節や場所を選ぶので手軽とは言えませんが、グッズの収集であれば、それほど手間をかけずにワクワク感が得られます。
 桜の季節には、毎年寸暇を惜しんで近隣桜名所を駆け巡っています。桜花の塩漬けを使ったお菓子作りや料理も楽しみの一つです。桜グッズの収集は、私の桜好きを刷り込まれた友人・知人・卒業生からのプレゼントで充実しています。パンダ好きの歴史も長いのですが、桜ほど頻繁に会えるわけではなく、専ら写真・動画の鑑賞やグッズの収集が中心で、これも優しい皆さんからのご好意に助けられています。
 秋には銀杏を拾います。一時は、拾い貯めた大量の銀杏を庭の片隅で朽ちさせてしまうなど、拾うこと自体が目的化した「銀杏拾い病」に冒されていました。ここ数年は、お節料理の中で存在感を示しています。

もの作り系(お節料理、手芸、テラス菜園)

 所要時間には数時間から数か月と幅がありますが、努力が実を結ぶ︵成果が目に見える形で得られる︶のが何よりの魅力。ささやかにお裾分けしたり、見ていただいたりして人との繫がりを感じるのも喜びです。
 お節料理作りは一〇年来の年中行事です。田作り、栗きんとん、伊達巻、筑前煮、昆布巻、肉巻きなど、蒲鉾以外は全て手作りで、曽祖父の代から受け継いでいるお重に詰め、写真を友人・知人に見て貰うまでのプロジェクトです。年々少しずつ進化し、私の作品の中では、唯一それなりのクオリティだと自画自賛しています。
 数年前、知人に刺激されて一時アクセサリー作りにはまりました。普段使いのネックレスやピアスを沢山作って結構楽しみました。今年はユーチューブで見つけたスタバの桜柄の紙袋のリメイクに手を出しています。クオリティはともかく、手軽に作品が形になるのはその時々の喜びです。
 最も新しい私の楽しみは、昨年のステイホームを機に始めたテラス菜園です。これまでにトマト、キュウリ、大根、ニンジン、パクチーなどを収穫し、二年目の夏野菜を植えたところです。自分で育てた野菜は味が濃くて美味しく、帰宅後は野菜たちの顔を見に行くまでは落ち着かきません。久々に生き物との暮らしを体験しています。

鍛錬系(ランニング、加圧トレーニング)

 鑑賞・収集系、もの作り系とは少し違うのが「鍛錬系」の活動です。その一つはランニングです。定期的ーと言っても時には一か月以上あくこともありますがーに走るようになって一〇年近くです。いまだにランナーズハイには程遠く、走ること自体は苦しいのですが、その分、他の懸念事項はすっかり忘れ、事後のスッキリ感・達成感は格別です。旅行先や出張先でのランは旅をより充実したものにしてくれます。
 もう一つの鍛錬系の活動は加圧トレーニングです。週に一回三〇分程度、足や腕の付け根を締め付けた上での筋トレ、トレーナーの容赦ない掛け声で息も絶え絶えになるまで鍛えられます。その分、終了後のストレッチでの癒され感は最高です。

リフレッシュの秘訣

 相当煮詰まっているときに頑張って走ると、身も心もスッキリします。その気力は湧かないけど、少し時間があるときはお菓子作りや手芸などでささやかな成果物を楽しみます。パンダの動画を見ると自然と笑顔になりますし、身も心ももっと弱っているときは、自分を甘やかし、ゆっくり湯船に浸かってタブレットでお気に入りの海外ドラマを見たりします。趣味というには継続性もクオリティもきわめて中途半端なのですが、多くのメニューを持つことで、状況に応じたリフレッシュが可能になっていると思います。
 もうひとつの秘訣は、手作りのお菓子や野菜を贈る、お節の写真や手芸の作品を見てもらう、一緒にランニングイベントに参加するなどの形で、活動を媒介に人との繫がりを紡ぐことです。さらに、加圧トレーニングのように、自身が気遣われケアしてもらう立場に身を置くことも、こころのリフレッシュに大いに役立っています。

広報誌アーカイブ