編集後記

 刊行スケジュール変更後の初4月発行号です。新年度の始まりにふさわしいフレッシュな空気をお届けできたでしょうか。
 本誌は、心理臨床学会会員の方、臨床心理学を学ぼうとしている方、心理臨床の利用者となりうる方(すべての方)を対象とした広報誌です。今期はこの3つのグループに向けて、それぞれ特集とコーナーを組んでおりますが、今号では「繋がり」をそれらの共通のテーマとしました。3つの内容が繋がり、互いに補い合い、すべての対象の方々に関心を持っていただけることを願っています。それはまた、この3つのグループの方々が繋がり、補い合い、心理臨床をより豊かにしていくことにもなるのかと夢を膨らませております。
 巻頭対談では、東京パラリンピックのマラソン(視覚障害のあるクラス)で金メダルを獲得された道下美里選手から、人と人との関係やそれを築き維持する方法について、心に残るお話を伺いました。支援をする人とそれを受ける人としてではなく、互いに支え合い、共に成長する関係を目指すことは、わたくしたちの日常の人間関係にも心理臨床にもつながる姿勢といえるでしょう。
 特集1では、新生活の始まりの時期にふさわしく、人との繋がりをつくる様々な場面について、特集2では、心理臨床に携わるうえで欠かせない自らのセイフティネットについて、当事者に役立つ心理教育のコーナーでは、人生の様々なステージで出会う孤立や孤独について、お書きいただきました。どの記事も、生活者としてのご自身の体験をベースに、それぞれの方の人生哲学ともいえるエッセンスが盛り込まれ、体温が感じられる記事であると感じました。執筆いただいた多くの皆様に感謝申し上げます。
 参集し、顔を合わせて意見を出し合う編集会議は、互いの発言が刺激となりあれこれと連想が湧き、長時間にわたり疲労しつつも面白い時間でした。新型コロナウィルス感染拡大下にあって、編集会議はオンラインで行われました。オンラインでの会議は無駄なく要領よく進められるのが特徴ですが、そのためには周到な準備と強力なリーダーシップが必要だったのでした。もたつく進行にもかかわらず、辛抱強くご協力くださいました編集委員の皆様にもお礼を申し上げます。 (広報委員 山中淑江)

事務局だより

 事務局担当の一年五か月はコロナで経過した。決定機関の理事会、日常の業務執行理事会をはじめ、一二の常設委員会もすべてオンラインだった。学問研鑽と会員交流の第三九回、四〇回横浜大会も開催縮小、四〇周年記念事業も計画変更となった。なかでも悔しいのは、我々にとって、クライエントとの生き生きした関わりや対応を学ぶ事例研究の機会が、この二年間完全に中止されたことだ。最も心理臨床の専門性を学ぶ〝密で豊かな機会〟が「密を避けるために」達成できなかったのだ。もちろんコロナに脅かされるばかりでなかった。大会開催に大きな収穫もあった。ZoomミーティングとZoomウェビナー併用のWeb研修が第四〇回大会実行委員長の手で試みられた。本学会特有の多様な現場や人材を生かした臨床経験や理論・見方・個人的な背景を引き出す双方向のグループ討議の「構造化デイスカッショングループ」/専門家のフィードバックを受け研究計画を練ってゆく「リサーチコンサルテーション」 /心理臨床家がインストラクターとなって、ヨガやダンス等の身体をほぐし気分転換をして新たな学びを得る「体験型ミニワークショップ」など、各々上限一〇〇〇~三〇〇名収容で設定され、さらにwonderサービスで現地開催の雰囲気と会話を楽しむ散策の場「オープンフォーラム」であった。Web研修は好評で昨年度から二〇〇〇人増え一万人の参加があった。今後の大会企画にWeb常設の席が与えられたのは収穫であった。(副理事長 乾 吉佑)

〈お知らせ〉
 このたび、より皆様の情勢にあった内容をお届けするべく、本誌「心理臨床の広場」の刊行スケジュールを変更することとなりました。
【変更前】→【変更後】
毎年1号(8月発行)→毎年1号(4月発行)
毎年2号(3月発行)→毎年2号(9月発行)

 今後もさらに有益な情報をお届けできるよう、雑誌づくりに取り組む所存です。ご期待いただけましたら幸いです。

〈おわびと訂正〉
第14巻1号54頁の大学院リストの関東エリアにおいて、記載ミスがございました。以下のように訂正して、お詫びいたします。

(誤)「筑波大学大学院教育学研究科」→ (正)「茨城大学大学院教育学研究科」

(誤)「茨城大学大学院人間総合科学学術院 人間総合科学研究群博士前期課程」→ (正)「筑波大学大学院人間総合科学学術院人間総合科学研究群博士前期課程」

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