はじめに
徳島航空基地は徳島県松茂町にあり、パイロットの養成を主な任務としています。
転職し、基地で初めての心理職として、手探りの状態で始めた海上自衛隊での仕事も14年が経ちました。
今回は徳島航空基地での私の仕事について紹介します。
現在取り組んでいること
私が現在、主に取り組んでいることは三つあります。「隊内巡回」、「隊員や家族への個別カウンセリング及び上司等へのコンサルテーション」、「チームビルディング」です。
一つ目の「隊内巡回」は、ストレスを発生させない職場を作り、メンタルヘルス不調を未然に防ぐ取り組み、つまり一次予防を目的として行っています。具体的には、他の業務が入っていない時には、毎日、基地の各部隊の事務所を訪ねてコーヒーを飲みながら、いろいろな立場の人と話し、職場の雰囲気、仕事や人間関係のストレス要因を把握し、必要に応じて調整を図っています。そうすることによって、自然と必要な情報が私のところに集まってくるようになりました。また、指揮官の所にも頻繁に訪れて雑談や情報共有を行い、円滑な調整を行いやすい環境づくりに努めています。
隊内巡回を行うようにしてから、カウンセリングまで至るケースは減り、相談レベルで済むことが増えています。
二つ目の「隊員や家族への個別カウンセリング及び上司等へのコンサルテーション」では、隊内だけでなく、基地内でのカウンセリングが困難な隊員に対して自宅への訪問カウンセリングも行っています。また、医療が必要な隊員には病院への付き添いも行い、療養が円滑に進むように、隊員、家族、部隊、病院の調整役としての役割も果たしています。
長期に休んでいる隊員の復帰時には、部隊、主治医と連携し、個々に応じた復職プログラムを作成し、復職支援を行っています。
また、コンサルテーションでは、クライエント本人の了解を得たうえで、職場の上司や指揮官に対して今後の対応の仕方や職場環境の調整などについて助言を行っています。ここでも、隊内巡回を通しての様々な人とのコミュニケーションが役に立っています。
三つ目の「チームビルディング」では、座学やグループワークを通して、個人のコミュニケーション能力の向上と組織のパフォーマンス向上を図るための活動を行っています。
個人の能力や個性を最大限に発揮できる環境づくりをすることで、一人一人が主体性を持ち、それぞれが違う個性や能力を最大限に発揮できる組織作りに取り組んでいます。
海上自衛隊は、個人ではなくチームとして行う仕事が大半を占めるので組織としてのパフォーマンス向上が重要となってきます。
また、チーム全体の能力が向上することにより、個人の能力の向上を促すこともできます。
他にも海上自衛隊に入隊した新入隊員が基礎教育を受ける教育隊で教育を担う教官に対して、教育心理学やチームビルディングの手法を用いた講習を行っています。
おわりに
専門性を活かして外部からではなく組織の中にいるからこそ出来ることを模索しながら、積極的に自分から動く心理職であることを日々心掛けています。