地域活動支援センターとは
私達が生活している地域には沢山の福祉施設があり、各々役割を担っています。ここで紹介する地域活動支援センターは、障害をもつ人が自立した日常・社会生活を営むことができるよう、創作・生産活動をしながら社会と交流する日中の居場所を提供すること、地域や利用者さんの実状に合わせて必要な支援を柔軟に行うことを役割としています。しばしば「地活」と略され、支援の内容によってⅠ~Ⅲ型に区分されます。その支援は柔軟性の高さ故に多彩で、軽作業、アート・音楽活動に力を入れる等、各施設に特色があります。また利用時には自治体への申請が必要ですが、障害者福祉手帳の取得や障害区分認定を受けることが必須ではなく、基本的にはどのような障害・程度であっても利用できます。また、経済的負担が軽いことも合わせると、利用のハードルが低いことも地活の特徴の一つでしょう。そのため場合によっては就労支援やデイケアにつなげるための中継地点のようにも機能します。このように比較的利用しやすい施設のように見えますが、どなたでも利用できるからこそ、支援者側は関わり方の方針も含めてしっかりとアセスメントすることが重要です。その利用者さんにどのようなニーズや生きづらさがあるのか、そしてどのような支援が望ましいのかを見極めることが質の高い支援に繋がるからです。
利用者さんと場を支える
私が2017年から5年弱ほど勤務していた地活では、心理支援者が心理的な視点からアセスメントと介入をすることが主な役割でした。心理検査や心理面接、一緒に軽作業をしながらの行動観察、スタッフからの情報を集め、その利用者さんの障害特性や生きてきた歴史を理解しようとしていました。利用者さんによっては定期的な心理面接も行い、より内的な部分を見つめる時と現実的な対処を考える時と、利用者さんのニーズ・状況に合わせて軸足を置き換えながら関わっていました。時には施設を出て一緒に自転車でコンビニへ買い物に行く練習をする等の生活のサポートもしたりと、柔軟に関わっていました。
地活のような日常臨床の中に心理支援者がいて、利用者さんのちょっとした言動やスタッフとの関係性を心理的な視点で見ることには、多くの利点があると感じます。たとえば、日常における利用者さんとスタッフ含めた周囲の関係性がなんだかうまくいかない時、そこにどのような意味があるのかを理解する上で心理的な視点が役に立ちます。そのうまくいかなさは、もしかするとその人がこれまでになぜか繰り返してきたことかもしれません。しかし、その状況を心理的な視点で見ると、意味や起きていることを理解できるようになります。その理解を基に関わると、利用者さんも「なんだかうまくいかない」という体験から「こういうことが起きていたのか」と自身の理解に繋がります。そして同時に「理解してもらえた」と感じてより安心して地活を居場所として利用でき、その人の形で社会と再び繋がることができるようになっていきます。これだけではないですが、心理支援者がいることで施設全体の抱える力が底上げされ、心理的・現実的な器としてより機能することができると思われます。
しかし、全国的にみても地活に心理支援者が必ず配置されているというわけではなく、まだまだ珍しいことのようです。ここで紹介した内容はあくまで私が勤務していた一施設での取り組みになりますが、こうした日常臨床にこそ心理支援者が役に立つ部分があるように思います。