学部心理臨床学科/大学院心理臨床学研究科の概要

 志學館大学は、日本臨床心理士資格認定協会第一種指定大学院の認定(二〇〇五年)と国家資格公認心理師養成大学・大学院の認定(二〇一九年)を受けています。高度な心理専門職である臨床心理士・公認心理師を育成する養成機関であり、所定のカリキュラムを修了することで両方の受験資格を得ることができます。心理専門職の主要五領域「医療・教育・産業・福祉・司法」、それぞれの分野のエキスパートによる講義・演習が揃っており、心理査定、カウンセリングや各種心理療法など、修了後すぐに現場で働ける臨床力を養います。学部の心理実践コースとの連携を重視しており、学部生と大学院生が講義、演習、見学実習などで交流できるのも魅力の一つです。

充実した学内実習と学外実習

 学内実習機関として「心理相談センター」「発達支援センター」を備えており、年間計一二〇〇回以上の相談支援を行っており、地域の相談機関の中核を担っています。大学院生は、両センターで一人当たり八~一〇ケースを担当し、三〇〇時間超の実践的な実習を積むことができ、臨床心理士・公認心理師としての臨床力を育む貴重な体験を得ています。
 また、大学院の学外実習では、六つの病院、二つのクリニック、四つの児童福祉施設、四つの教育関連施設と一か所の療育施設からなる一七の外部実習機関から実習先を選択し、複数の施設で実習を受けることができます。

学内環境

 幼児から思春期まで生活にさまざまな困難を抱えた方やその家族などを対象に、心理臨床的観点からそれぞれの発達状況に応じた支援を行います。一対一の個別支援に加え、集団療育を通して、幼児や児童のソーシャルスキル向上や、思春期の子どもの育ち直しの場の提供、子どもを育てる保護者のコミュニティ作りを行います。学校教職員等へのコンサルテーションも行っています。
 なお、九州の私立大学で学内に両センターを持つ大学院は本学だけです。

手厚い卒後サポートで公認心理師・臨床心理士資格取得に向けバックアップ!

 在学中はもちろん、大学院修了後も研修会やセミナーなど様々な研修の機会があり、修了後のサポートも提供しています。定期的に学外から講師を招いて研修会を行っており、様々な領域の最前線で実践や研究をされている先生方からの貴重なご指導を受ける機会が用意されています。また、修了生の臨床心理士資格試験及び公認心理師国家試験の合格に向けて、定期的に勉強会を開催し、盤石のサポート体制でバックアップしています。

これから心理臨床の道を志す方々のために

 本稿のテーマは「心理臨床家の養成」ですが、本学は臨床心理士/公認心理師資格取得のための養成機関であり、いわば将来有為な心理臨床家を目指す第一歩を踏み出すための学び場となることを目指しています。同時に、それを保障すべく、地域の中で「あそこに行けば何とかなる」といった相談・援助の拠り所としての社会的要請と責任を担えるような支援・研究・教育を兼ね備えた機関を目指しています。以上を踏まえ、心理臨床の道を志そうとしている高校生や学部生に、いくつか心にとめてもらいたいことを伝えています。
◦まずはプリマム・ノンノケレ(人を傷つけることなかれ)、人は知らず知らずのうちに傷つけてしまう存在であることを自覚すること。
◦人の心に興味を持つこと(なぜその人はそう思い行動したのか? なぜこういうことが起こってくるのか?など)。
◦それを分かろうと一生懸命聴き相手の世界を想像すること。その上で分からないことがどこかを分かっていくことに努めること。
◦臨床とは、相手のために悩み心配すること。
文献
土居健郎・小倉清(二〇一七)『治療者としてのあり方をめぐって』遠見書房

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