私の"こころのリフレッシュ"は、水に入ること、湯に浸かることです。
水に浸かる
私は、水の中に入ることが好きです。泳ぐことももちろんですが、プールに入って水の中に潜る時の感覚が好きです。周囲の音が遮断され、静かな世界が広がります。そのうち、自分の思っていることや考えていることが、いつもよりしっかり聞こえてくるような気がします。でも、そんな時間は長くは続きません。息が苦しくなるので、外の世界に顔を出して、新鮮な空気をたっぷりと吸い込みます。そしてまた、水の中の世界へ。
水の中に入ることは、大げさに言うと、私にとっては一瞬にして世界が切り替わる体験です。言葉で他者とやり取りすること、音が聞こえること、私にとっては普段当然のようにそこにある世界が、変わります。水の中に入るだけで、外界から遮断された自分の感覚に注意が向けられます。もしかすると私は、潜ったり泳いだりしながら、自己対話をしているのかもしれません。それが"リフレッシュ"なのかと問われると、よく分からないところもありますが、普段考えがあちこちに飛びやすい私にとっては、集中して自分の感覚と向き合うことのできる状態であり、考えを整理したり、凝り固まった思考から距離を取ったりでき、リフレッシュの効果があるように感じています。
あとは、水の発する音も、私には心地よく感じられます。ぴったりくる擬音語がなかなかないのですが、コポコポ、 クルル、コロコロといった水中の音、ピチャン、ジャブンッといった水面の音、心地のいい音に囲まれて、しばし日常を忘れます。写真は、とある動物園でシロクマが泳いでいるプールを下からカメラに収めたものですが、水の中の感じをいくらかお伝えできるでしょうか。
プールの端で、潜ったり顔を上げたりを繰り返している人を見かけると、ちょっと不審かもしれません。なので、こればかりを続けるのはやめて、泳いでみることにします。
泳ぐ
私は、幼い頃から水に入ることが好きで、学生時代は水泳部に所属し、大人になってからもマスターズ登録をして、水泳・競泳を続けてきました。ライフスタイルの変化で家を空けづらくなってからは、なかなかプール通いもできなくなりましたが、時間を見つけてはプールに行っています。
プールに入り、無心で泳ぎ続けると、体も心もすっきりします。日々の雑多なことから離れて、水の心地よい感触と自分の体験に集中します。そして、プールから上がった後の心地のいい疲労感。体の中から温まった熱と体の重みを感じながら、ぼーっと一息つく時間は、至福の時間です。
Covid-19が猛威をふるった期間、残念ながらほとんど泳ぐことはできませんでしたが、そうした時間が逆に、水に入ることや泳ぐことがどれほど私にとって大切なのかを実感させてくれました。そんな中、2021年に約10年ぶりにマスターズの大会に参加しました。大会の前には、成人スイマーの集まる練習会に数回参加し、久々にハードな練習をしました。体が悲鳴を上げるのを感じつつ、学生時代、水泳に明け暮れていた頃の自分を思い出しました。水の冷たさや重みに苦痛を感じながら、少しでもタイムを縮めようと練習に励んでいたこと、大会で思うような結果が出せず落ち込んだり、逆に満足のいく結果が得られて喜んだりしたこと、その時々の仲間たちとの思い出。どれも今の私につながる、大切な私の経験です。様々な経験を積み重ねてきて、今の私があるんだなということを改めて感じます。
泳ぎ疲れた体を癒すのに、次は温泉でお湯に浸かりたいと思います。
湯に浸かる
水泳とともに"水"にまつわる私のこころのリフレッシュ方法は、お湯に浸かることです。
私は身近に温泉施設がある地域で育ったこともあり、幼少期から温泉に行くことは多かったのかもしれません。家の浴槽とは違う大きなお風呂で手足を伸ばしてゆったりお湯に浸かると、その日の疲れがスーッと溶け出ていくような気がします。最近は、岩盤浴や寝湯など、工夫を凝らした設備がある施設も増え、単にお湯に浸かるだけではない楽しみ方もあります。寝不足が続いた日には、寝湯に寝転がりうたた寝を、体の疲れを強く感じる日は、塩風呂や塩サウナで汗をかき、体の芯が冷えているように感じる日は、岩盤浴や歩行浴を。自分の状態に合わせて、行く施設や入るお風呂を選んでいるような気もします。
数年前、面白い温泉施設に行きました。たくさんの種類の浴槽やサウナがあり、定められた順に巡っていくのですが、最後はなんと、そばにある海に入るのです。もちろん季節によると思いますが、その時は、火照った体で海水に入ると、何とも言えない心地よさに全身が包まれました。生命は海から誕生したんだっけと壮大なことをイメージしながら、海風呂を堪能しました。日本最古の温泉とされる道後温泉の歴史は、なんと三千年前にまで遡ると言われています。きっと昔から、人々は温泉の癒し・リフレッシュ効果を感じ、生活に取り入れてきたのだろうと想像します。
私の"こころのリフレッシュ"は、大好きな水や湯に触れ、身体的に自分を取り戻すことなのだろうなと、原稿に取り組みながら改めて感じました。自分らしくいられる場所や方法を持っていること、それが"こころのリフレッシュ"につながるのだろうと思います。