心理臨床家が関わっている分野や領域は広く、心理支援の対象者も多岐に亘ります。今回の記事においても、たとえば、NICU(新生児集中治療室)で働く心理職がいることがわかります。それも赤ちゃんのご家族の心理支援をしているだけでなく、大事な仕事をしていることが記事から伝わってきます。児童相談所は、名前を知らない人は少ないと思いますが、そこで実際に何が行われているのか、その中で心理職はどういう動きをしているのかは意外に知られていないかもしれません。パートナーシップやカップルカウンセリングなども取り上げていますし、SNSや電話相談といった媒体に特徴がある仕事も取り上げています。医療観察法は、身近に感じられないかもしれませんが、日本の社会の中に存在しています。
 普段、意識していなくとも、社会のいろいろなシーンで、ふと気づくと心理職と出会っていた、それも自然な形で出会っていた、というのが当たり前の日本になるといいなと願っています。運転手さんや料理人や保育士さんが自分の生活圏の中にいるのが当たり前のように、です。さまざまな困難やストレスがどうしようもなくなってしまう前に、生活者に身近な存在としてそれを防ぐことができたり、軽減することができたら、生きやすい日常に近づくのではないかと思っています。

広報誌アーカイブ