「ホモ」「オカマ」という言葉で傷ついている人がいます

 あなたの友達にLGBT(性的マイノリティ)の人はいますか?
 しかし、性的マイノリティへの差別や偏見は根強くあり、親へカミングアウトしている人は五人に一人しかいません。人口の約三~一〇%いると言われている性的マイノリティは可視化が比較的困難であり、身近なところにいても気が付いていないことが多いのです。同性愛者の自殺率は異性愛者の約六倍と言われていますが、当事者から相談を受けたことのある臨床心理士はどれほどいるのでしょうか?
 様々な生きづらさを抱えている性的マイノリティについて、臨床心理士の養成プログラムの中で学ぶ機会が必要だと感じます。

世界の中での日本(同性婚をめぐって)

 アメリカでは二〇一五年の同性婚の成立をきっかけに性的マイノリティの自殺率が減ったと言われています。世界では二〇二〇年五月現在、二八の国・地域で同性婚が認められています。日本では二〇一九年二月に婚姻の平等を求める一三組の同性カップルが、国に対して同性同士で結婚できないことは憲法違反であるとして訴訟を起こしました。憲法で守られるべき個人の尊厳を侵害し、平等にも違反するという人権侵害にあたるという訴えです。
 同性婚(に類する)制度の成立により法的に認められた先輩達の生き方が、未来に絶望する若い性的マイノリティへのロールモデル、希望になるから必要なのです。
 みんなの意識が変わらないから、法制度から変える必要がある。それくらい、世間や社会からのスティグマは強固で、当事者の自殺率の高さにも繫がっています。訴える症状や生きづらさの背景にもしかしたらセクシュアリティの問題があるかも、と想像できる臨床心理士はどれだけいるのでしょうか?
 セクシュアリティ自体がメンタル不調の原因ではなく、マイノリティへのスティグマが心身を蝕むことがあるのです。

同性パートナーシップ制度の導入に向けての大阪府枚方市での取組

 同性婚への一つのステップとして、同性カップルの関係を公的に認める「パートナーシップ制度」は全国三四自治体で導入されています(二〇二〇年一月末時点)。
 私も「里親になりたい」というゲイカップルの相談を受けたことがきっかけで、枚方市で「同性パートナーシップ制度」の導入に取り組みました。まず、性的マイノリティのことを人権問題として取り組んでくれる市会議員に、彼らの願いを話しました。二〇一八年九月議会で質問してもらい、紆余曲折の末、二〇一八年一二月議会で、枚方市も「二〇一九年四月から同性パートナーシップ制度を導入します」という回答を得ることができました。私も市の担当者と何度も話し合いをし、枚方市長ともレインボーミーティング(性的マイノリティの当事者が直接市長に意見を伝える場)で、他のマイノリティと大きく違い、家族が安全基地にならないことを伝えました。「同和問題」や「外国人」などのマイノリティの場合、家に帰れば家族が問題を共有してくれますが、性的マイノリティは家族からの理解が得られないことが多く、当事者が孤立感を深めている現状があることなどを伝えました。その様子は広報ひらかた令和元年五月号(https://machiiro.town/p/52876#book/2) に掲載されています。
 全ての人がありのままの性で暮らすことができる、自分らしく、安心して暮らせる国こそ、美しい国日本だと思うのですが、今の日本の現状をどう思われますか。

参考資料

宝塚大学・日高研究室 http://www.healthissue.jp/アウト・ジャパン 二〇一九年三月四日の記事より https://www.outjapan.co.jp/lgbtcolumn_news/news/2019/3/4.html

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