若手の会の発足と入会資格、運営について

 日本心理臨床学会の「若手の会」は、本学会の若手会員が相互の連携を密にし、そのパワーを活かして実践と研究に活発に取り組み、心理臨床学の専門性をもって社会に貢献することを目指して、2018年2月に正式発足致しました。若手の会は、2017年に設立準備に取りかかり、その年の11月に開催された第36回大会にて、多くの若手会員によって設立集会が行われ結成に至りました。
 若手の会の入会資格は、本学会に所属する会員であり、40歳未満、または、大学院修士課程もしくは博士課程に在籍中、大学院修士課程もしくは博士課程修了時から10年以内に該当する者となっています。ゆえに、40歳を超えていても上の条件をクリアしていれば会員になれます。年齢を気にせず、入会なさってください。この会は、会員の相互の連携を密にし、資質と技能の向上をはかることを目指しています。
 入会手続きは、日本心理臨床学会のトップページ(https://www.ajcp.info/ )から、「活動」→「若手の会」と進んでいただくと、若手の会の概要と申込フォームがありますので、ぜひ入会をお願い致します。
 会の運営は、原則、自主的に運営されることになっており、実質的には、若手の会の会員によって選出された幹事が担います。現在は、設立時幹事が運営に当たり、会の活動を盛り上げています。
幹事:伊藤正哉、井上美鈴、加藤佑昌、古賀聡、鈴木華子、藤野陽生(代表幹事)、古川裕之、鶴光代

 若手の会運用内規により、幹事若干名に加えて、本学会業務執行理事一名が幹事となることから、設立時は杉江征業務執行理事が幹事となり、その後、筆者が業務執行理事としての幹事を引き継いでいます。2020年の2月で、設立時から2年となりますので、現在、第二期の幹事選出に向けて、準備をしているところです。

シンポジウム等の開催

 若手の会の活動として、本学会大会時にシンポジウムを開催し、若手としての問題意識や意見を提唱し討論を重ねています。
 2018年8月開催の第37回大会では、「心理臨床学における若手の挑戦と学び」と題してシンポジウムを開き、登壇した若手の会メンバ13名から若手のキャリアアップとその難しさ、取り組み、挑戦の実際等が話題提供され、フロアと活発な意見交換を行いました。
 また、大会実行委員会との合同企画では、「心理臨床の先達と語る会」として、心理臨床の先達と参加者が語り合う会を開催しました。成瀬悟策先生、大塚義孝先生、鑪幹八郎先生という大先輩の先生方のお一人おひとりを囲んで語り合う形式で、三日間に渡って行われました。参加者は、当時、94歳の成瀬先生をはじめ80歳代後半でいらっしゃるお二人の先生方が、現役として活躍されているそのお姿と造詣の深さに感嘆すると共に、これからの自身のキャリアを積むその道程に心を馳せ、一生涯の自己研鑽を覚悟した様子でした。

 2019年度の第三八回大会では、シンポジウムと懇話会を開催しました。その概要は、第九回メールニュース(2019年7月11日)で次のように紹介されています。

シンポジウム:「若手の心理臨床家にとってのワーク・ライフ・エンリッチメント」
 三人の若手から、臨床家、研究者、女性治療者、父親としての立場から、結婚や出産、子育てといったライフイベントに関わる経験についての話題提供がありました。結婚や子育てといったことに限らず、多様な生き方があることも話題になり、若手の問題意識や多様性を会場の参加者とも共有する機会となりました。

若手の心理臨床懇話会:「心理臨床学会の若手は何をしていくのか?」
 若手の会会員から話題提供を募るという新企画、当日は八人の若手からキャリアや雇用の問題、開業、情報発信のアイディア、ネットワーク作りなどの話題提供がされ、話題提供に対する質疑や議論が活発に行われました。また、会に集まった手の参加者同士でつながりを作るきっかけにもなっていました。

若手の会メールニュースとリレーコラムの配信

 メールニュースは、第1回(2018年7月11日)から第15回(2019年12月13日)まで、活動報告やリレーコラムの紹介等が精力的に発信されています。
 リレーコラムは、会の活動の重要な柱で、会員が自身の活動紹介や日々の思いなどさまざまな内容を書いていくという企画のもと、第1回(2018年5月1日9から第12回(2019年12月13日)まで続いています。
 例えば、「心理臨床における修行の喜び」と題するPART1、PART2は、長編で、修行の喜びが熱く語られ、最後に、「セラピストとしての生涯発達のなかで新たな自分との出会いがあるのも心理療法家として修業することの喜び」と締めくくられています。
 コラムは、次のようなテーマで続いており、どの回も示唆深く魅力的です。
「若手の会の紹介」、上記の「PART1」、「PART2」、「臨床と研究と教育とプライベートの板挟みの間で」、「親子支援と私生活のつながり」、「よくも悪くも漂う臨床と私の日々」、「心理臨床における発見と学びとその先へ」、「ローカルに光あれ」、「事実は小説よりも奇なりの日々なり」、「院生の頃の気持ちを忘れずに」、「この心自分のもの 世界をどうにでも 作り変える」、「心理職のキャリアと人生に関する雑感」

 若手の会では、今後も、若手の会の会員交流を充実させ、若手の会ならではの問題意識のもとシンポジウム等を企画していきますので、まだ入会されていない若手会員の入会を歓迎いたします。若手のみでなく本会の全会員とともに、人々の心の健康と福祉の増進および将来の心理臨床学分野の発展に寄与すべく活動していきます。

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