Serial Articles 初心者のためのブックガイド『1日誰とも話さなくても大丈夫』
紹介者 東北大学大学院 櫻庭真弓
心理学を学びたいと思ったら
本書は、色々大変なことがある世の中でも、猫のように、リラックスして生きていくためのヒントを精神科医が紹介したものです。「1日誰とも話さなくても大丈夫」というタイトルからコロナ禍を意識したものと思いましたが、コロナ禍に限らず、人生の中で悩んだり不安に思ったりしたときに役立つヒントが満載です。ぜひ、これから心理学を学びたいと感じている皆さんに、楽しみながら読んでいただきたいです。
私は働き出して日が浅いですが、心理臨床の現場で働くことはやりがいを感じると同時に大変なこともたくさんあります。心理学を学ぶ上で、そして心理臨床の現場で働く上で、リラックスして過ごすことや自分の心を大切にすることは本当に大事なことだと日々感じます。そこで、心理学について勉強する合間に本書も一緒に読むことをお勧めします。
考え方を少しだけ変えてみよう
本書を読んでいると、日常のちょっとしたことを工夫したり、考え方を少しだけ変えてみることで今よりも楽しく生活できるのではと感じます。
ステップ4「思考法を変えてみる―明るい未来はこう摑もう、ネガティブな自分にさよならする方法―」に紹介されているように、ネガティブに感じたり、落ち込んでしまうようなことでも、考える角度を少しだけ変えると、前向きになれたり、「まあいいか」と思えたりします。これは、「リフレーミング」とも言うもので実際のカウンセリングでも使われます。
例えば、本書では「三日坊主は経験豊富」という言葉が出てきます。三日坊主と聞いて多くの人が思い浮かべるのは、続かなかったり、すぐ飽きてしまったりといった悪いイメージでしょう。しかし「何でも三日坊主で続かなくて?」と言ったとき、それは視点を変えれば、次々さまざまなことに取り組んできたからこそ多くのことを経験していて経験豊富だとも言えます。
このように、物事を違う側面から見てみることで、"実はそんなに悪くない"こともあるということに気づけるのです。これは、問題を抱えてカウンセリングを訪れる人にとっても、普段日常生活の中で「あー、いいことないなー」とため息をつきがちな人にとってもよい方法です。
猫みたいに楽に生きてみよう
その他のステップでも「いっそ、猫になってみよう」と、テレビでアナウンサーが「こんにちは」と挨拶したら「こにゃにゃんわ!」と言ってみるなどユーモア溢れるものがたくさん紹介されています。クスッと笑いながら読めて、読んでいるだけでもリラックスできる本です。
本書を読んで不安の解消法や息抜きの仕方などを考えるきっかけになれば幸いです。
普段から、自分なりに楽に生きるための方法を探しておくと、何か困難にぶつかったときや辛いときに自分を助けてくれると思います。それだけではなく、自分以外の困っている人たちにもひょっとしたら役に立つかもしれません。
ぜひ本書を読んで、自分の心を大切に、猫みたいに楽に生きてみましょう。