概要
金城学院大学は、キリスト教主義を基盤とした女子大学で、名古屋市の北東——守山区にキャンパスを構えています。学部は、人間科学部多元心理学科において公認心理師養成も行っています。
大学院は2001年に「人間生活学研究科人間発達学専攻臨床心理学分野」として正式にスタートしましました。現在は公認心理師と臨床心理士の二資格の取得を前提としており、院生は一学年がほぼ7、8名という少人数となっています。入学者は本学の学部からの進学者が半数以上ではありますが、他大学出身者も毎年入学しています。
心理臨床相談室は、学内の広い駐車場内に平屋で建てられており、独立性が保たれています。大学院の授業も多くは相談室内の研修会議室で行われています。教員は専任教員が2名の助教と1名の精神科医を含めて九名で、その専門領域は、発達支援、母子支援、心理査定のほか、芸術療法を中心としている教員が多いのが特徴といえます。
相談室活動
相談室は年間30ケース前後の新規ケースを受けつけており、主に院生と相談員として契約している修了生が担当しています。相談室には、面接室2、集団面接室1、検査室2、プレイルーム小2、大1のほか、検査や面接記録の保管室、資料室などがあり、院生の休養室や面接室などの記録を管理するモニタールームも設置されています。また、狭い空間ではありますが、屋外遊戯スペースも用意されています。
実習
M1の臨床心理基礎実習の半期が終わった時点から、相談室でのケースを担当することができることになっています。もちろん全ケース逐語録とクライエントが承諾した上でのビデオなどをもとに、スーパーヴィジョンを受けています。また、ケースマネージメントなどを学ぶためにも相談室の運営業務も実習の一環として課しています。
学外実習は、精神科病院、総合病院などの医療機関のほか、教育センター、附属中学のSC、企業の相談室、鑑別所などへそれぞれ半期ずつM2の一年間で行っています。その実習に際しては、実習先の指導者へ大学院から実習生の特性を評価した「申し送り票」、実習指導者が評価する「実習評価表」、院生自身の「自己評価表」をセットで用いており、臨床心理実習の指導などに活かしています。
それらの実習のほか、毎週1日近隣の公立小学校へ特別支援教育支援員として担当児童を決めて教室へ入って活動をしています。また、M1の夏休みに総合病院の発達障害を中心としたキャンプに参加しています。
研究指導
修士論文執筆の研究指導については、主の指導教員と副の指導教員の2名で指導を行っていますが、研究内容等によってはほかの教員が助言を行うことも少なくありません。年々公認心理師試験が早まってきているので、少しずつ研究スケジュールを早めてきているところです。M2の秋に中間審査を行い、1月の提出後に最終審査を行いますが、その日程も早めていくことが必要になるかもしれません。
その他就職など
院生にとっては、資格取得、修論執筆以外に就職についても大いに気になるところです。公務員のほか、愛知県内を中心として、病院やクリニックなどの非常勤が最初の就職としては多い状況です。その後、自分の関心領域によって常勤職へステップアップしていくことがよく見られます。また、愛知県や名古屋市、豊田市などのSCにも多く勤務しています。
就職支援とは少し異なりますが、修了生を対象とした研究会などを定期的に行っており、リカレント教育として、現場へ出てからの悩みなどを相談できる雰囲気も保つようにしています。また、学会などへの発表や参加を積極的に促しており、専門職としての意識を高めたいと考えています。
本学の特徴
本学の特徴としては、院生全員を教員全員でケアする、という雰囲気が強いことがあげられると思います。研究指導だけではなく、スーパーヴィジョンもできる限りひとりの教員に固まらないように工夫しますし、実習指導も指導教員とは関係なく担当しています。そういった雰囲気の中で院生自らが自身の課題に気づきながら成長していくことを支援しています。