心の問題は自分の人生を生きることと深く関わり、人の生きるあらゆる領域に生じます。そのため、心理専門職は、心理相談室のほか、医療、教育、福祉、産業、司法、災害などの多領域で働いています。求人条件には、臨床心理士や公認心理師または両方があげられることが多いですが、大学や大学院で専門的に学んだうえで資格試験に合格することが必要です。また、公務員の心理職にあたる任用資格に、児童心理司や家庭裁判所調査官などがあります。その他、産業カウンセラーなどの民間資格、心理学系の各種学会が創設した資格などもあります。
 一方、各領域で働く、医師や看護師、教師、保育士、弁護士などの専門職は、独自の専門性をもちつつも、人が生きることに関わる、対人援助職でもあります。その専門性を深める中で、人の心への深い理解が必要となるような面が時に浮かび上がってきます。そこで、必要性を感じて自ら臨床心理学を学び、心理職の資格を得て、いわば二足の草鞋を履く形で業務に携わる人や、むしろ今は心理職として働いているという人もいます。今回は、心理職ともう一つの専門職をもつ方々に、自身の経験を踏まえて、両者の共通点や違いについて語って頂きます。

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