臨床心理学では「睡眠」よりも「夢」に関心が集まることが多かった。「夢」の世界は不思議でそれこそ「夢」がある。夢は自分の心と体が、自分が寝ていて知らないあいだに作りだす「劇場」、「映画」または「フィクション」であり、自分が主人公で作者でもある。一体、夢にどんな意味があるのだろう、夢がどうやって作られるのだろう、ということに関心をもつ人も多い。もう一方で、睡眠というと、そこまでロマンはないかもしれない。しかし、健康とかかわるとても重要なことであり、睡眠が足りないと身体は重いし、集中力もないし、機嫌も悪くなるし、楽しくなるかもしれない一日が「早く終わってほしい」となってしまう。
 自分は中学生のころ深夜ラジオが大好きだった。夜が更ければ更けるほどもっと楽しいような気がした。「ペンネーム○○さんからのお便りです」なんていうふうにリスナーの声が紹介されるのが、親近感を作りだす。深夜のラジオは、修学旅行の夜、ひそひそとみんなでおしゃべりしているようなワクワク感があった。でも、そのツケは大きい。次の日は朝から「起きなさい!」と親に怒鳴られるし、身体も頭も半分寝ているような時間帯があった。睡眠の科学と心理学に逆らうことはもうないだろう。睡眠に注意を向けることで毎日の自分がもっと機能アップするだろう。

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