「ぐっすり眠る」とは
皆さんは、「熟眠障害」という言葉を知っていますか。熟眠障害とは、不眠症の症状の一つで、日々の睡眠で回復感がなく、質のよくない睡眠が続く状態と言えます。つまりは、ぐっすり眠れない病です。ぐっすり眠れているか、眠れていないかの基準は、先にも述べた「回復感」と、さらには「満足感」も関わると考えられます。この「回復感」と「満足感」が満たされた理想の状態はどんな状態でしょうか。おそらく、我々のイメージでは、よく、TVのCMなどで見かけるような、朝日が差し込む大きめの窓の前に立って、爽やかな笑顔で伸びをして、「あぁーよく寝た‼」なんてつぶやける状態などではないでしょうか。しかしながら、このような状態は、なかなか味わえることなく、社会人や育児を頑張っている私にとってもそんな日々はいつ来るのだろうかと言いたくなります。現実レベルで言えば、そこまでの境地に至らなくても、「就寝前よりも疲れがとれている」、「その日にやるべきことがとりあえずこなせる」といった日常体験が得られていれば、ある程度ぐっすり眠れていると考えてよいと私は考えます。
ぐっすり眠る(「熟眠感」)の獲得に向けて
熟眠障害を改善するポイントは、生活習慣の見直しで、特に就寝時間と起床時間の固定が重要です。上記の時間は平日に限らず、土日も含めて固定することが重要です。また、熟眠感には、深い睡眠をとることが必須です。深い睡眠をとるためには、睡眠の出だしが重要です。具体的に言えば、眠たくなって布団に入って即寝落ちといった流れが重要です。実は、俗に言う「深い睡眠」は、就寝時から最初の90分ほどしかチャンスはありません。その90分間にどれだけ深く睡眠という海にダイブできるかが重要です。深くダイブするには、勢いが必要です。この勢いが眠気です。つまりは、最大限に眠気を溜めて、一気に就寝しちゃうという流れです。この方法で、深い睡眠がとれ、その後の心身の回復、満足感が得られやすくなります。
では、眠気を最大限に溜めるには、どうすればよいのでしょうか。まず、重要なのは夕食時間の固定です。人間の体内時計に食事は重要です。朝ごはんを食べると覚醒が促進されるように、夕食は就寝に向けた準備を促進します。つまりは、眠気の蓄積です。また、夕食に合わせて重要なのは、入浴です。入浴は、シャワーではなく、お風呂の方が体温を上昇させます。体温が上昇すると覚醒に繋がりますが、入浴後に2時間ほど過ごすと、上昇した体温が下がり、眠気が高まります。人間は、体温が下がると眠くなりやすいので、そのまま布団に行くと深い睡眠がとりやすくなります。
熟眠障害の裏にある新たな病の可能性
熟眠障害の裏に実は別の病気が潜んでいる可能性は無視できません。一つは、うつ病です。うつ病の人は、浅くて質の悪い睡眠が続き、何時間寝ても疲れがとれない、起き上がれないといった熟眠感に関する問題を訴えます。生活習慣を見直してもなお熟眠障害が生じる場合は、病院を受診しましょう。もう一つは、睡眠時無呼吸の問題です。睡眠時無呼吸は、いびきなど睡眠時の呼吸困難や停止を引き起こすものです。案外、自覚症状のない方も多いので、起床時の熟眠感の低さの他に、悪夢を見ることが多い方は、就寝中の無呼吸による苦しさが睡眠自体を妨害している可能性があります。