岐阜県と聞くとどのような印象があるでしょうか。高山や下呂といった温泉で有名な観光地もありますし、スキーやラフティングなどの自然を活かした活動が盛んであり、森林率79・1%と全国第2位の自然の豊かさがあります。意外かもしれませんが、岐阜駅から名古屋駅までは電車で30分足らずで着き、実はアクセスの良い地域であり、岐阜駅からバスを一本乗ると岐阜大学に着きます。岐阜大学は教育学部、地域科学部、医学部、工学部、応用生物科学部、社会システム経営学環の5学部1学環と大学院のすべてが1つのキャンパスの中にあります。そのため多様な学生と刺激し合える学びの環境があります。

本学の特徴

 本学において心理臨床家を養成するのは大学院教育学研究科の中にある教育臨床心理学専攻です。教育に関する最先端の講義を受けることができることと岐阜大学附属学校をはじめとした教育現場での実習経験を豊富に積めることに本専攻の特色があります。不登校、いじめ問題をはじめとした複雑化する学校現場の問題に対して、自らが発見した問題点を客観的に評価できる心理専門職であり、その評価をもとに被援助者や組織に対して専門的知識と技能を用いて適切に支援できる人物や教員をはじめとした多職種に助言することのできるコミュニケーション力をもった専門家の養成を目指します。公認心理師・臨床心理士・学校心理士の3つの資格を取得することが可能であり、学生には2つ以上の取得を目指すように指導しています。
 主に指導教員となる教員は6名であり、幅広い専門性を有しています。大学院生は1学年の定員は5名であり、学年によって上下しますがマンツーマン指導が可能な人員配置です。修士論文を執筆するための研究指導の教員と臨床指導を行う教員を分けることで閉鎖的な指導になることを防いでいます。その上に教員は学生が多様な指導を受けることを歓迎しており、学生が指導教員以外の全ての教員に相談に行くことを可能にしています。

6年一貫教育モデル

 本専攻は即戦力をもったスクールカウンセラー養成を目標の1つとして掲げており、そのために学士・修士課程一貫教育モデルを想定しています(図1)。臨床心理士の資格試験は修了後の年ですが、公認心理師の資格試験は在学中に受験するようになっています。そのため卒業研究・修士研究、心理臨床家になるためのトレーニング、資格試験の準備を学生が無理なくやり抜くことができるようにカリキュラムを配慮しています。これは教育学部という特色により現場経験を早くに積むことが出来ることによって可能になっています。もちろん修士からの入学者も大歓迎であり、不安な学生は学部の授業を受けるなどによってサポートすることが可能です。

心理教育相談室と学外実習

 大学院生の訓練機関と同時に地域に住む方の心理支援機関として心理教育相談室があります。面接室3室(写真を参照)、プレイルーム2室があり、月曜から金曜の9時から18時まで開室しています。相談を担当するのはインテークなどの特例を除いてほとんどが大学院生です。毎年の相談実績は、新規ケースが20〜25件で、総面接回数が約400回です。1人の学生がおおむね5ケース程度を担当し、修了までに40〜50回のセッションを経験することになります。他にも、医療領域、福祉領域、産業領域、司法領域の学外実習も経験できます。希望者にはオプションの実習も提供されており、学生が学びたい領域の経験を積むことができます。

就職先

 岐阜県は全国7位の広さの南北に長い県であり、少ない平野部に街が点在していることもあり、たくさんの心理臨床家を必要としています。そのため教育領域だけでなく、岐阜県公務員心理職をはじめ多くの現場から学生が就職することを強く求められています。これは先輩たちが各地で本学の信頼を高めている証拠でしょう。本学は「同門会」という修了生と大学院生が一緒に学ぶ同窓会も有しており、大学と現場が非常に近いという特徴があります。

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