特集01: 社会的養護の心理臨床の魅力 社会的養護の心理臨床の魅力
2000年に児童虐待防止法が施行され、児童福祉の領域は大きく変化してきました。施設に入所してくる児童も、被虐待や不十分、不適切な養育環境によって傷つき、ケアを必要とする子どもたちが増えてきました。そうした子どもたちをケアすることを目的として、厚生労働省からの要請に基づき、心理士が様々な児童福祉施設で働くようになってきました。
それから4半世紀を経て、児童福祉施設における心理職は、心理臨床の専門性を拡げてきたと言えるでしょう。すなわち、伝統的な個別心理療法を中心とした心理臨床を拡げ、クライアントの生きる日常生活に近接し、多職種と共に支援する心理臨床のあり方に貢献してきました。
本特集に書かれている執筆者は、児童養護施設、乳児院、母子生活支援施設、児童心理治療施設、そして元施設心理職員として、それぞれの現場の魅力を描いています。共通するのは、人生の一部を共有する生活の場で、様々な状況を引き受けながら育つ子ども達や家族が見せてくれる尊さに魅了され、専門職としてだけでなく、一人の人としてその存在が問われ、子どもたちや同僚に受け入れられていく姿であるように思います。誰かの人生において大切な存在にしてもらえること——それはとても幸せな仕事だと思うのです。