「不思議なもの・こと」が大好き

「夏休み中不思議な体験をした人は、ぜひ教えてください!」筆者は働いている短大で、夏休み後の授業の冒頭に、毎年学生にこのように伝えます。学生は『またか…』と苦笑いしながらも、何人かの学生は「こんな不思議な体験をしました」と、授業の後そっと教えてくれます。また、私は中学校のスクールカウンセラーとして働いていますが、相談に来る生徒の中で「怖い話」が好きな生徒とは、時折「怖い話」や不思議な話について語り合うこともあります(もちろん悩みの相談もちゃんと聴いています)。普段物静かな生徒が、怖い話のことになると目をきらきらさせて筆者に語ってくれます。その話を聴きながら、誰かと一緒に「ぞっと」する経験がこの子にとっての癒しにつながるといいなあ、といつも思います。このように、筆者は「不思議なもの・こと」が大好きです。今回は中でも「妖怪」と「怪談」の魅力と、それらが持つ筆者にとっての「癒し」効果について書いてみたいと思います。

「妖怪」と「癒し?」

 筆者は子どものころから「妖怪」が大好きでした。きっかけは多くの「妖怪」ファンの方々と同じですが、アニメシリーズの「ゲゲゲの鬼太郎」を見たことです。「ゲゲゲの鬼太郎」に登場する妖怪は人間に害や災厄を与えるものばかりではなく、人間の味方となったり、人間の幸せを願ったりするようなものもいます。作者の水木しげる氏の圧倒的な画力が生み出す妖怪の数々に、子どものころから今まで魅了され続けてきました。
大学の卒業旅行には友人と二人で鳥取県境港市にある「水木しげるロード」を訪れ、数十体ある妖怪のブロンズ像一体一体と満面の笑顔で写真を撮ったりもしました。二十数年を経た現在も、水木しげる氏の妖怪画を時折見ながら、「荒野で『がしゃどくろ』に襲われたらどう逃げ切ろうか?」などと想像することが筆者は大好きです。

休日友人の子どもたちと筆者の子どもたちに「妖怪クイズ」を出題したところ大盛り上がり。急遽子どもたちのリクエストで追加問題をいくつか考えました!

また、筆者は子どもの小学校で絵本のよみきかせボランティアをしたことがあるのですが、水木しげる氏の「妖怪えほん」を子どもたちに読み聞かせした後、自作の「妖怪クイズ」を某クイズ番組になぞらえて子どもたちに出したところ、大盛り上がりでした。いつの時代も「妖怪」は子どもたちにとってわくわくする存在なのだなあと実感するとともに、「妖怪」に思いを巡らすことが筆者の「癒し」につながっているように感じています

「怪談」と「癒し?」

 前述のように、筆者は短大で保育士や幼稚園教諭を目指す学生を教育していますが、学生の前で、絵本を読み聞かせることがよくあります。特に学生に好評なのが、「怪談」をテーマにした「怪談絵本」です。幼児に読むにはちょっと怖すぎるかもなあ…と思うような絵本でも、学生の前で読むと集中して聞いてくれますし、学生の感想に「今日の絵本は怖かったです」と書かれていると、「やった!」とガッツポーズをするのです(我ながら変わった先生ですね)。また筆者はいつか怪談師(怪談を語る人)になりたいと思っていて、短大の学園祭で怪談を学生たちに披露することが今の筆者の夢で、ひそかに怪談を語る練習をしています。
 三十代を過ぎたころから、筆者は「怪談」にはまっていきました。「妖怪」は人間とは異なる生物という印象がありますが、「怪談」には主に幽霊が登場し、特に恨みや後悔、憎しみの感情を持って亡くなった人間の想いが、恐怖という感情を生み出すようです。
 現在は、YouTube等のメディアでさまざまな怪談師の方が活躍されています。私もいろいろな怪談師の方のお話をチェックはしていますが、断然の「推し」は稲川淳二氏です。毎年夏から開催される怪談ライブのツアーには、数年前から中学生の息子と二人で必ず参加しています。また、休日には筋トレをしながら稲川淳二氏の怪談を聞き、子どもたちと遊ぶ時間の合間には稲川淳二氏の怪談本を読む、といったように、筆者にとっての自由時間の楽しみの大部分は稲川淳二氏の「怪談」で構成されています。
 みなさん怪談と聞くと「怖い」「ぞっとする」ものとばかり思っていませんか? 稲川淳二氏の怪談には、「ぞっとする」話だけでなく、愛情や親子の絆を描いた「泣ける」話が少なくありません。私は、こうした怪談を繰り返し聞き・読みながら、時にぞくぞくするような恐怖に心が潤うように感じ、時に感動の涙を流します。そして人間という存在のはかなさや尊さ、生きていることの喜びや死への恐怖をありありと感じ、「明日から仕事をがんばろう!」と思う原動力になります。まさに私にとって「怪談」は癒しにつながっているのです。

おわりに・でも怖いものは怖い?

 筆者にはいわゆる「霊感」はありませんし、妖怪や霊の存在を100%信じている訳ではありません。しかし、「見えないもの」(「妖怪」や「幽霊」など)に思いをはせることが、人間の心の豊かさにつながることがあるのではないかとも感じています。
 最後に一言。実は筆者は大のこわがり。出張先の宿ではお化けが怖くて電気を消して寝られないなんて、子どもたちには決して言えません(笑)。

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