なぜ、いまアンケートなのか?

 本誌『心理臨床の広場』は、2008年8月30日の創刊から17年以上が経過しましたが、読者からのフィードバックは、寄せられた意見に耳を傾けることが中心でした。そこで今期の広報委員会では、読者の感想・意見をより積極的に伺うため、アンケート調査を企画しました。
《アンケートの対象と方法》
期間:2025年1月23日(木)~3月16日(日)
対象:心理臨床学会の公式HPにアンケート案内を掲載するとともに、会員が登録しているメールニュース(約2万人登録)でも回答を依頼しました。
有効回答数は1941名でした。多くの方にご協力いただき、この場を借りて御礼申し上げます。
方法:協力者にはオンライン上のアンケートフォームで回答していただきました。質問項目は、属性情報のほか、認知度・記事の評価の選択式質問に加え、読んだ感想、取り上げてほしいテーマ、本誌への意見などを自由に記述していただける形式としました。

おおむね好評な感想

 会員には本誌を郵送していることもあり、約9割が「よく読む」「たまに読む」と回答しています。同様に、約9割が「面白かった」「まあまあ面白かった」と答えており(図1)、広く肯定的に受け止められていると考えられます。

感想の自由記述

 自由記述の感想には312名から回答をいただきました。広報委員会では全回答に目を通していますが、すべてをご紹介することは現実的ではありません。そこで、計量テキスト分析ソフトであるKH Coder 3を用いて、全体的な傾向を概観しました。
 自由記述で出た言葉から助詞などを除いた単語をカウントし、頻出語(上位90語)のパターンを把握するため、共起ネットワークと呼ばれる図を作成しました(図2)。
 言葉を囲む円の大きさは出現数を示しており、図右のFrequencyの100と同じ大きさなら、その単語が100回出現したことを意味します。ある言葉同士が同時に用いられる傾向が強いほど円は近くなり、太い線で結ばれています。円の色は、出現パターンにもとづきソフトウェアが自動でグループ化したものです。
 中央下のネットワークには、巻頭対談や著名人インタビュー、推し活やジブリなどの特集を「興味深い」とする肯定的な感想が集まっています。
 その左上には、当事者向けの心理教育記事が「役に立つ」とする意見があります。
 右上には、さまざまな領域の仕事紹介や大学院紹介への感謝の声が多く見られました。
 一方、左上の「学会・雑誌」グループには、「雑誌はいらないので学会費を下げてほしい」といった厳しい意見も含まれていました。

図2 感想の自由記述の頻出語の共起ネットワーク

今後の課題

 記事内容がおおむね好意的に読まれていることはわかりました。創刊当時の理事長・鶴光代先生の『創刊のことば』には、本誌の対象は「会員をはじめ、広く心理臨床に関心をもつ一般の方々や大学生・高校生諸氏」とあります。今回はコストの都合で高校生・大学生への調査は見送りましたが、本誌が本来の対象に届いているか、改めて検証する必要があります。また、会員の間でも、本誌が「誰を対象に」「何を目的として」発行されているのか共有されているか疑問です。本誌の目的について再確認・再検討する時期が来ているのではないでしょうか。

第19巻第1号(通巻36)

第19巻第1号(通巻36)

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