そもそも「心」とは何でしょうか。心は身体のように目で見ることも、手で触ることもできません。では、「無意識」とは何でしょうか。心に実体がない上に、無意識は「意識できない心」ですから、その存在を証明することも、完全に否定することも簡単ではありません。そのため、無意識は本当にあるのか、科学で扱えるのかについて、長い間議論が続いてきました。そのためフロイトやユングの考え方を、少し古い理論だと感じる人もいるかもしれません。
それでも私たちは、「なぜか同じ失敗を繰り返してしまう」「理由はわからないけれど苦手な人がいる」といった経験をするとき、自分でも気づいていない何かの影響を考えたくなります。スマートフォンで夢占いや夢分析を検索したり、チェックリストをポチポチして自分の知らない心のタイプを知ろうとしたりするなど、扱うツールには変化があれども、無意識は人を惹きつけずにはおりません。
現在では、精神分析だけでなく、発達心理学や認知心理学、脳科学など、さまざまな分野が「意識していない心の働き」を研究しています。本特集を通して、現代の「無意識」の考え方に触れ、自分自身の心を少し違った角度から見つめるきっかけになれば幸いです。